Monday, January 27, 2020 9:16 AM

iPS心筋移植、治験開始 世界初、心不全患者に

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った「心筋シート」を重症心不全患者の心臓に移植する治験を始めたと、大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)らのチームが27日、発表した。iPS細胞から作った組織を心臓に移植するのは世界で初めてといい、1例目の移植は今月、実施した。約3年かけて計10例を実施予定で、移植の効果や安全性を確認する。

 現在は心臓移植や人工心臓の利用が主流で、新たな治療法の確立が期待される。記者会見した澤教授は「助けられない患者さんもいる現実に直面しながら研究してきた。5年以内の実用化を目指したい」と話した。

 治験は、血管が詰まって心臓の筋肉に血液が届きにくくなる虚血性心筋症の患者が対象。シート(直径4〜5センチ、厚さ0.1ミリ)3枚を心臓の表面に貼り付け、計約1億個の細胞を移植する。定着すれば新たな血管ができて心機能が回復するとしている。(共同)