Friday, February 21, 2020 9:24 AM

肺炎で航空会社損失278億ドル リーマン以来の需要低下か

 【ニューヨーク共同=松尾聡志】国際航空運送協会(IATA)は20日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大が直撃し、アジア太平洋地域の航空会社が2020年に計278億ドル(約3兆1000億円)の損失を被るとの試算を公表した。世界的な運航停滞が避けられず、声明で「08年のリーマン・ショック以来の需要低下となる恐れがある」と懸念した。

 アジア太平洋地域の損失のうち約半分は「震源地」である中国の国内市場が占める。航空会社の多くは、経済成長が続く中国などアジア路線を拡充しており、事業戦略の見直しを迫られる可能性もある。

 IATAはこれまで、20年のアジア太平洋地域の年間旅客需要を前年比4.8%増と見込んでいた。だが中国本土や香港を結ぶ便の欠航が広がり、一転して8.2%減になると下方修正した。ユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空の米航空大手3社は米国と中国を結ぶ便を一時停止。韓国のアシアナ航空は中国便や東南アジア便の収益の大幅減少が経営の重しになっている。