Thursday, April 09, 2020 10:22 AM

現実路線で格差是正 中間層再建へ教育福祉拡充

 【ワシントン共同】米大統領選の民主党候補指名を確実にした中道のバイデン前副大統領は、福祉や教育分野への予算拡充で「中間層の再建」を目指す。トランプ政権による巨額減税を見直して財源をつくる計画だ。現実路線に沿うとして支持を広げたが、新型コロナウイルスの影響で景況感が悪化する中、実現には不透明感も漂う。

 現行の巨額減税は企業や富裕層への優遇だとして批判も多い。バイデン氏は法人税を21%から28%に、所得税の最高税率を39.6%に引き上げる方針だ。増収分は高額な授業料で深刻化する学生ローン問題への対応に充てる考えだ。副大統領として成立に携わった、公的補助を通じて国民に保険加入を義務付ける「オバマケア」の強化やインフラ整備にも取り組む。

 保護主義的な通商政策を掲げるトランプ氏は交渉手段として制裁関税を使ってきたが、バイデン氏は「米農家が犠牲を払った」と批判的だ。離脱した環太平洋連携協定(TPP)は巨大な自由経済圏を構築し、非市場経済の中国をけん制する有効な対抗策との見方をにじませる。再交渉後のTPP復帰の可能性に触れたこともある。