Tuesday, April 28, 2020 10:20 AM

富士通、放熱材用のCNT接着シートを開発

 富士通は、最高100W/mK(ワット毎メートル毎ケルビン)という極めて高い熱伝導性を持つカーボンナノチューブ(CNT)で構成された柔軟な接着シートを開発した。放熱材料として電気自動車(EV)のパワーモジュールへの実装といった用途に使えるといい、材料メーカーなどにこのシートの使用権を供与することで実用化を目指す。

 最近は、EVのコストパフォーマンスや航続距離を改善するため、モジュールの小型化、軽量化、低消費電力化、低コスト化が可能なシリコンカーバイド(SiC=酸化ケイ素)や窒化ガリウム(GaN)をシリコンの代わりに使った半導体素子の開発が進められている。しかし、モジュールの小型化によって半導体素子周りに生じる発熱の対策が大きな課題となっている。

 カーボンナノチューブは熱伝導性が高く、半導体素子などの熱源から熱を逃す放熱材料として活用が期待できるが、形状が崩れやすく、扱いが難しかった。そこで富士通は、カーボンナノチューブ層の上下を保護シートと接着層からなるラミネート層で保護する積層構造にすることで、カーボンナノチューブの形状を安定させた。

 さらにシート高熱伝導接合技術で、カーボンナノチューブの熱伝導性を損なうことなく十分な接着性を保ったまま接合できるようになったため、これまで難しかった裁断加工や取り扱いが容易になる。

https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/04/17.html