Friday, May 15, 2020 10:11 AM

WTO事務局長、辞意表明 紛争処理停止、混乱のまま

 【ジュネーブ共同=出口朋弘】世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長は14日、各国代表団と実施したテレビ電話会議で、8月末で辞任する意向を表明し、後任選びに速やかに着手するよう加盟国に求めた。任期を1年残しての退任となる。紛争処理機能がまひし、混乱が続く中でのトップの辞意表明となった。

 任期は来年8月末までだった。WTOは15日に、一般理事会をテレビ電話会議方式で開催予定。新型コロナウイルス感染拡大を受けた現状報告や対応などが協議される予定だった。アゼベド氏の辞意表明を受けて、後任選出手続きも議題に上るとみられるが、選出までには難航も予想される。

 WTOは、紛争処理の常設上訴機関である上級委員会が昨年12月、米国の反対で任期切れ委員の補充ができなくなり、1995年のWTO設立以来初めて紛争処理機能が停止している。