Tuesday, May 26, 2020 10:31 AM

中国民法典、60年で成立へ 市場経済化で試行錯誤

 【北京共同】中国で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)で中国初の「民法典」が審議されており、閉幕日の28日にも可決、成立する見通しとなった。現行の物権法など多くの民事関連法を体系化した。最初の起草に着手してから60年以上。計画経済から市場経済へ転換する過程で私人の権利や義務を巡り試行錯誤が続いたが、市場経済が定着した結果、ようやく社会規範が固まった。

 民法典は総則、物権、契約、相続、婚姻家庭など7編1260条から成り、中国特有の内容も多い。

 依然として社会主義を掲げる中国では不動産は「公有」で、個人の所有権はない。住宅を買ってもあるのは70年間の使用権だけ。計画経済時代は職場から住宅を提供されていた。しかし市場経済導入で不動産売買が一般化する過程で「満期後はどうなるのか」との懸念が広がり、2007年に物権法に使用権の「自動継続」を明記。民法典では使用権がなくても、合理的な理由があれば住むことを認める「居住権」という新概念も設けた。

 中国は民法典の編さんを4度試みたが、いずれも失敗。建国5年後の1954年にソ連(当時)の民法を参考に最初の起草を開始したが、毛沢東が発動した反体制派打倒の「反右派闘争」の政治混乱で頓挫。計画経済下で個人の権利は強く制限されていた。