Friday, June 05, 2020 9:45 AM

電池用鉱物の倫理的調達、ブロックチェーンで実現へ

 ハッシュキャッシュ・コンサルタンツ(HashCash Consultants、カリフォルニア州)は、自動車メーカーや鉱山業者、電池メーカーの世界的企業連合と提携し、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤とする鉱物供給網管理システムを共同開発する計画を明らかにした。

 PRニューズワイヤーによると、提携の目的は、コバルトやタングステン、リチウムといった鉱物資源の倫理的調達を確実に実現することにある。自動車用電池生産の主要材料であるそれらの鉱物は、採掘現場に長年つきまとっている児童労働の問題を受けて倫理的供給網の確立が求められている。

 ブロックチェーン技術や暗号化技術を専門とする新興企業のハッシュキャッシュは、企業連合と協力し、ブロックチェーン技術を活用することで鉱物資源の供給網に追跡機能と透明性をもたらすことを狙う。

 コンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)は、世界のコバルト埋蔵量の3分の2以上を占めるほか、タングステンやすずの主要生産国。そのため、自動車用電池にとって欠かせない鉱物資源の調達で最も重要な国となっている。しかし、同国の鉱山では児童労働が多用されている疑いがある。

 ハッシュキャッシュのブロックチェーン技術は、DRCで生産された鉱物を採掘現場から製錬所、電池工場、そして自動車製造工場まで追跡するのに使われる予定。同社のシステムは、それらの鉱物の供給網生態系に関与するすべての業者をブロックチェーン・システムで結び、鉱物が供給網の各段階を移動するたびに出所を確認して分散台帳に記録できるようにする。

 同社は、自動車用電池生産に使われるすべてのDRC鉱物に関する詳細情報を含む改ざん不可能な記録を供給網全体で共有できるシステムを構築する方針。

 システムの稼働時期については明らかにされていない。