Monday, June 08, 2020 10:29 AM

選手の差別抗議、五輪なら処分も 膝つきNG、IOCが指針

 【ジュネーブ共同】ミネソタ州で起きた白人警官による黒人男性暴行死事件を巡り、国際スポーツ界で人種差別行為に抗議する動きが広がっている。トップ選手の言動は注目を浴びるが、国際オリンピック委員会(IOC)が定めた五輪憲章は競技会場や選手村で政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じており、来年に延期となった東京五輪でも注意が必要だ。

 IOCは今年1月、憲章第50条の当該条項について具体例を示したガイドライン(指針)を発表し、プロフットボールNFLで人種差別に抗議するため国歌斉唱の際に一部選手が行った膝つき行為は認めないと明文化した。政治的なメッセージの掲示や腕章の着用、ジェスチャー、表彰式の違反行為が認められた場合は、当該国・地域のオリンピック委員会や国際競技連盟、IOCが懲罰処分を検討する。

 1968年メキシコ五輪では、陸上男子200メートルで金、銅メダルを獲得した米国2選手が黒人差別への抗議として表彰台で黒い手袋をはめた拳を突き上げた行為が「政治的宣伝」として大会から追放された。2016年リオデジャネイロ五輪男子マラソンのエチオピア選手は自国政府による圧政への抗議のポーズを取った。IOCは「スポーツは政治や宗教から切り離されるべきだ」と原則を強調する一方、大会中も記者会見やデジタルメディア、テレビ、新聞を通して意見を発信することは認めている。