Wednesday, June 17, 2020 10:24 AM

強制不妊、国会調査開始 障害者差別の根絶目指す

 旧優生保護法(1948〜96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、衆参両院の事務局は17日、立法経緯や被害状況の調査を開始した。障害者差別の根絶に向けた教訓を得ることを目指し、人権侵害を容認してきた旧法の制定過程や背景を十分検証できるかどうかが焦点だ。衆参両院が協力して過去の法律の経緯を調べるのは異例。調査範囲が広く、期間は3年程度かかる見通し。70年以上が経過しており、難航も予想される。

 旧法は議員立法で全会一致により制定されたことから、調査は、強制不妊の被害者側が法律を作った立法府の責任として実施するよう強く要望していた。衆院の盛山正仁、参院の園田修光厚生労働委員長が17日夕、国会内で「こうした被害を二度と繰り返してはならない。過去の事実を直視して後世に伝え、共生社会の実現を目指すことが重要だ」と指示した。衆参それぞれにある調査室が国立国会図書館と協力して作業を担い、報告書を作成する。

 優生思想が広がった当時の社会的背景や法律制定の経緯、法律に基づいてどのように強制不妊の政策が進められ、国や自治体がどういう役割を果たしたのかといった項目を調べる。障害者団体への聞き取りや、関連文献、行政の保存資料で確認する。資料が残っていない恐れもある。(共同)