Thursday, June 24, 2021 4:31 AM

スパックとESGの投資は両立するのか

 昨今の投資業界で話題を集めている大きな動向と言えば、いわゆるスパック(SPAC)と呼ばれる特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company)を使った資金調達方法と、ESG(environmental, social, and governance=環境、社会責任、企業統治)分野の実績やリスクを判断基準とした投資だ。ただ、それら二つは相容れない動向と言えるかもしれない。

 ブルームバーグによると、これまでの傾向を見るかぎり、ESGを判断基準とした投資に傾倒している資産管理者は、投資先が特定されていない状態のスパックに投資することには消極的だ。スパックへの投資は2025年までに53兆ドルを上回るとブルームバーグは予想するが、ESG投資が流れ込まない結果としてスパックの成長の勢いが鈍る可能性がある。

 スパックとは、上場時点では事業の実体を持たず、上場で集めた資本をもとに他企業を買収する会社を指す(あるいは、前提とする買収によって事業の実態を初めて持つようになる)。そのため「空箱上場」と呼ばれることが多い。

 サンフォード・C・バーンスタイン(Sanford C. Bernstein)のアナリストは空箱上場について、持続可能性や社会の公平性に貢献しようとする投資家にとってはしっくりくる投資形式ではないと考えている。また、欧州最大の資産管理会社アムンディ(Amundi)も、顧客の資本を第三者のスパックに投じることには消極的だと語っている。

 「まだ投資していない買収案件に資金を託すというのは、企業統治の観点から奇妙に映るだろう」と、バーンスタインのイニゴ・フレイザー・ジェンキンス氏が率いる投資集団は最近の論評で述べた。

 「それら二つの傾向(動向)のあいだで、興味深い綱引きが繰り広げられている」と、チェンジブリッジ・キャピタル(Changebridge Capital)の設立者兼投資責任者ロス・クライン氏は話す。買収先が分からない状態でスパックに投資するのは、「ESGの観点からはかなり難しい」と同氏は話す。

 スパックが透明性に欠けることは以前から指摘されてきた。とはいえ、特に米国ではスパックの上場が急増中だ。ブルームバーグによると、2020年初めからこれまでに約1400億ドルがスパックに流れた。

 スパックのなかには、ESG投資を明示的に目的に掲げているいるものもある。たとえば、ESGコア・インヴェストメンツ(ESG Core Investments BV)は最近、欧州で初めての環境投資を目的とするスパックとして上場し、2億5000万ユーロを株式市場で調達した。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-02-25/spac-and-esg-fads-are-on-collision-course-with-billions-at-stake