Wednesday, September 29, 2021 8:19 AM

電動化シフトで業界労働者の再教育が課題に

 電気自動車(EV)への移行によって、欧州の自動車業界は大きな変化を強いられ、欧州連合(EU)は労働者がゼロエミッションの未来に対応するためにリスキリング (職業能力の再教育)プログラムを通じた支援が必要になるという報告書を、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が発表した。

 ロイター通信によると、現在570万人に上る欧州の自動車業界雇用は、電動化シフトに伴い2030年までに全体では1%近く減少するが、内燃エンジン主体の製造業者やサプライヤーの雇用の減り方はそれぞれ20%、42%と大きく、合わせて50万人が職を失うとBCGは予想している。

 一方、ゼロエミッション(無公害)技術を中心にするサプライヤーの雇用は30万人と10%程度増える見込みだという。また、自動車産業向けのエネルギー生産やEVの充電インフラ業界も大幅な雇用増が予想される。

 欧州委員会(EC)はこれまでに、35年からガソリン車とディーゼル車の新車販売を実質的に禁じる法案を提出。メーカー側は、特に内燃エンジン工場における雇用が危険にさらされると警告し、EUはこうした製造業労働者に与える影響の緩和を図るべきと呼びかけている。

 テスラ、ルノー、日産などのメーカー、EV充電設備業者チャージポイント、米国の複合企業3Mなど、多くの組織や企業が加盟する業界団体プラットフォーマー・エレクトロモビリティーは、業界の電動化シフトで誰も取り残されないよう、EUや各国政府、各企業は労働者の教育、訓練、技能向上、リスキリングに力を入れるべきだと呼びかけている。