Thursday, October 28, 2021 4:38 AM

法人向けパソコン納品、数週間から数ヵ月に

 各社が発注するパソコンの出荷が大幅に遅れており、待ち時間は数週間から数ヵ月という例もある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、パソコン大手のHPとデル・テクノロジーは8月下旬、顧客会社からのパソコン注文の処理が需要に追いついていないと説明した。半導体不足や新型コロナウイルス問題、港湾施設の停滞、悪天候による一連の供給網問題が影響している。

 調査会社IDCはこのほど、部品不足や物流の問題を受け、2021年のパソコン出荷台数予想を前年比18%増から14.2%増に下方修正した。

 パソコン出荷の遅れを受けて、一部の会社の最高情報責任者(CIO)らは、コンピュータの購入方法の調整を強いられている。従業員2200人を抱える全米退職者協会(AARP)では、以前なら注文から6〜8週間後だったパソコンの納期が6〜8ヵ月に延びているため、マイクロソフトやデル、HPを含むさまざまの供給元に数千台単位で行っていた発注を数百台ずつにし、毎週50〜100台を従業員らに支給するようにした。

 AARPのナジーブ・ウディンCIOによると、より頻繁に注文することで将来のニーズに対応するための合理的な在庫を確保できるという。8月の注文は2022年3月に履行(パソコン納品)される見通しだ。

 また、約2万人の従業員を抱えるペンシルベニア拠点の造園サービス大手ブラント・ヴュー・ホールディングスも、パンデミック前ではパソコンが納品されるまで数週間以上かかることはめったになかったが、現在、平均3ヵ月は待たされている。同社は、供給業者のCDWを通じてデル製パソコンを毎年約1000台購入している。ブラント・ヴューのブライアン・ブルースCIOは、より長いリード・タイムに対応するために、将来のニーズをできるだけ早く計算してパソコンの在庫維持に努めている。

 NTTデータ傘下のNTTデータ・サービスは通常、事前に取り決めた価格と保証付きのベンダー契約を通じてラップトップを調達しているが、一部のベンダーでは6ヵ月の遅れがみられる、と報告した。そのため、以前なら四半期ごとに購入していたパソコンを、現在では必要に応じて随時購入するようにした。NTTデータ・サービスは、2021年に約1万5000台を購入する予定だ。

 すべての会社がパソコン納品遅延に直面しているわけではない。9000人の従業員を抱えるマサチューセッツ拠点のアカマイ・テクノロジーズでは、目立った遅れはないという。同社では、ニーズの発生よりかなり早く半年ごとに約1000台を注文している。アカマイのマニ・スンダラムCIOは、深刻なパソコン調達問題が起きていない要因として、さまざまのベンダーと協力しているためだと考えている。

 技術業界分析調査会社のカナーリスやガートナーは、2022年半ばには半導体と部品の不足が緩和すると予想している。