Friday, August 05, 2022 11:55 AM

人工知能ツールが異常気象の高精度予想に寄与

 ペンシルバニア州立大学の研究者らはこのほど、気象学者たちと共同で5万枚以上の気象衛星画像を人工知能で解析することで、ひょうや吹雪、強風、雷雨といった悪天候または異常気象につながることが多いコンマ状の雲を発見し、嵐をすばやく特定することに成功した。

 ディスカヴァリーによると、研究班は、機械視認(computer vision)と機械学習を活用して、衛星画像からそれらの雲をほぼ100%の精度で1分以内に自動検出する方法をコンピューターに学習させた。研究班が使った人工知能ツールは、気象予報士らの分析を潜在的な嵐雲の形成に集中させることで、64%の悪天候を予想できるようにし、既存の異常気象予想システムより高精度を達成した。

 アキュウェザー(Accuweather)の上席気象学者スティーヴ・ウィスター氏は同ツールについて、嵐の形成状況を膨大な量の雲データのなかから迅速に発見できるようにする画期的機能を可能にした、と話した。「われわれの事業は、人々の命と財産を守ることが使命の一つだ」「より早く警報を出せるようになることで、異常気象によって打撃を受ける人たちによりよいサービスを提供できる」。

 正確な天気予報に必要な膨大な量のデータを処理するには、高価なスーパーコンピューターが使われることが多い。しかし、同研究班が開発した強力な人工知能手法は、より小型のコンピューターでも実行可能だ。

 その手法を使っている一社が、気候リスク分析および異常気象対策計画会社クライメットAI(ClimateAi)だ。同社は、世界規模の天気予報を地域ごとに規模縮小し、コストと電算力を削減するという取り組み方によって、高額のスーパーコンピューターを使わずに高精度の気象予報を世界規模で展開する。

 その手法は、二つの人工神経回路網(neural networks)を戦わせる機械学習技術を応用する。人工神経回路網は、世界の気象データを使って、結果が出るまで戦うことで人工知能を訓練する。

 クライメットAIの研究者らはそれによって、数時間から数日先までの地域気象予想を高精度かつ低コストで実現した。コストを抑えられることから、貧困国でも高精度の気象予報を利用して農業計画や社会基盤(橋、道路、住宅など)の建設方法を変更し、異常気象への効果的対策を実行できるようになる。

https://www.discovery.com/science/ai-tools-help-to-predict-extreme-weather