Friday, September 09, 2022 11:52 AM

人工衛星画像を使った新たな機械視認モデルが山火事減災に効果

 2022年に入ってから8月末までに米国で数十万人、世界では何百万人もが山火事の被害を受けている。

 国連環境計画は2月に、「気候変動と土地利用の変化が山火事の頻度と破壊力を高めると考えられる」と報告した。同報告書では、「2030年までに最大14%、2050年末までに30%、今世紀末までに50%の極端な火災が世界的に増加する」という予想が示された。

 米国の山火事管理への取り組みは、予算の60%を即時消火対応に集中させている。ニューヨーク・タイムス紙は、「山火事リスクを事前に軽減し、地域社会が被災後に回復力を高めるための支援に費やされる額ははるかに少ない」と報じた。

 ネクストガヴ誌によると、アクセンチュア・フェデラル・サービシズ(Accenture Federal Services=AFS)は、自治体や地域社会らが山火事リスクに事前に対処できるようにするために、人工衛星画像を解析することで枯れ木や病気の木をリアルタイムで特定する機械視認(computer vision=CV)モデルを開発し、土地管理団体がリスク緩和と復旧の取り組みに注力すべき場所についてより良い情報を提供することに成功した。

 AFSのハッカソン班は、一定期間内に撮影された衛星画像から、病気の木や枯れた木の広がりをピクセル単位で識別するCVモデルを訓練した。そして、そのピクセルをロジスティック回帰と部分適合を用いて分類し、任意の地域に樹木の枯死が見られるかいなかを特定した。同モデルは、リアルタイムの衛星画像に適用することで、迅速かつ正確な情報を土地管理機関に提供し、より効果的な被害軽減策を計画および策定できるよう支援する。

 同モデルには、樹木枯死の調査範囲を簡単に拡大できるという利点がある。現在、米国林野局は国有林内のおもな森林地帯を対象に、「昆虫および疾病検出年次調査」を進めている。同モデルは、それらの地域を調査し、山火事リスクが高まっている場所を土地管理者らに理解させるのに貢献する。

 また、樹木を枯らす外来昆虫の広がりをより正確に把握することで、すべての土地管理者らがより広い範囲で樹木枯死を迅速に検出かつ監視し、被害を受けた樹木を迅速に治療して、外来昆虫をより適切に封じ込めることが可能となる。

 さらに、電線付近の枯れ木を特定することで、電線落下による火災リスクを軽減するという効果もある。

https://www.nextgov.com/emerging-tech/2022/09/new-computer-vision-model-tackles-improved-wildfire-prevention/376752/