Thursday, November 10, 2022 5:51 AM

AMバッテリーズ、2500ドルの資金獲得

 電極の乾燥工程を簡略化させる「ドライ電極製法」に特化した新興電池メーカー、AMバッテリーズ(AMB、マサチューセッツ州)は、シリーズA資金調達ラウンドで2500万ドルを調達した。

 同社のプレスリリースによると、資金調達ラウンドは画期的な産業技術に注目する投資会社アンズ・パートナーズが主導し、TDKベンチャーズ、フットヒル・ベンチャーズ、トヨタ・ベンチャーズ、ジオン・ベンチャーズ、SAICキャピタル、ビンファスト、ドラル・エナジーテック・ベンチャーズ、クリエイティブ・ベンチャーズが参加した。AMBは今回得た資金を、陣容の拡大と商業化の加速、ロールトゥーロール製造パイロットラインから顧客向け生産への前進、ドライ電極製造プラットフォームを固体電池などの新しい電池技術へと拡張することなどに充てる。

 AMBの取締役でもあるTDKベンチャーズの投資ディレクター、アニル・アキウタ氏は「バイデン政権のインフレ抑制法(IRA)が米国内の電池製造業者に対する容量1キロワット時(kWh)当たり35ドルのクレジットで生産の現地化を支援し、加州が35年までにガソリン車の新車販売を禁じる方針を発表したことを考えれば、AMBが目指すタイプのリチウムイオン電池生産に向けた前進は重要であり、環境面でも大きな前進と言える」と話している。

 トヨタベンチャーズの気候基金パートナー、リサ・コカ氏によると、AMBの溶剤を使わないドライ電極製造は、製造過程の二酸化炭素(CO2)排出量抑制というもう一つの重要な目標に対応している。現在のリチウムイオン電池の生産過程では、電極の製造に必要な溶剤の乾燥や回収によって発生するCO2、エネルギー消費、コストの高さが懸念事項の一つとなっている。

 AMBは、EVの需要が高まり続ける中、持続可能な大量導入のためには、EVの製造コストと環境フットプリントへの対処が必要と考えており、同社のドライ電極製造技術は、電極コーティングに有害な溶剤や大量のエネルギーが必要な乾燥工程が伴わないという点で意味がある。