Tuesday, April 11, 2023 6:57 AM

テスラ、トラックと量産型乗用車にLFP電池採用へ

 電気自動車(EV)大手テスラは、大型電動トラック「セミ」の短距離バージョンと手頃な価格の乗用車に、比較的安いリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の使用を拡大する計画を発表した。

 ロイター通信によると、イーロン・マスクCEOはLFP電池技術を高く評価しており、3月には「電動化のための力仕事の大部分は鉄ベースの電池が担うだろう 」と述べた。4月5日に発表した「マスタープラン第3弾」では、短距離向けの大型電動トラック「セミ・ライト」にLFP電池を使うことを明らかにした。発売日などの詳細は不明。

 テスラは2022年12月、ニッケルベース正極材のリチウムイオン電池を使ったセミ(航続距離500マイル)の納入を開始したが、以前、航続距離300マイルのバージョンも発売すると表明していた。また、小型のEVモデルには容量53kWhのLFP電池を使う予定だという。中型車の「モデルY」と「モデル3」にも75kWhのLFP電池を採用する計画だが、その時期は明らかにしていない。テスラは現在、米国で販売するモデル3とモデルYの大半にニッケルベースの電池を使っている。

 テスラは3月、将来は乗用EVをメキシコなどの工場で生産し、組み立てコストを半減させると発表した。

 LFP電池はニッケル系の電池よりも大きくて重く、一般的に容量も少ないため航続距離が短くなるが、マスク氏をはじめとするLFP電池の支持者は、世界な採用を妨げているこれらの欠点を上回る重要な要因として、鉄の豊富さと価格の安さを挙げている。また、LFP電池はニッケル系に比べて火災の危険性も低い傾向にある。

 現在、LFP電池の市場は中国のサプライヤーが支配しており、テスラは中国の電池大手・寧徳時代新能源科技(CATL)から調達しているが、米国にCATLの工場はなく、米中の政治的緊張のため中国のサプライヤーが米国で電池工場を建設することは難しい。韓国のLGエナジー・ソリューションは、計画中のアリゾナ工場でLFP電池を製造する予定だ。