Monday, December 11, 2023 8:10 AM

GMとオートカー、燃料電池商用トラックを共同開発

 GMは、水素燃料電池を動力源とするさまざまな車両の共同開発で、特注トラックメーカーのオートカー・インダストリーズ(Autocar Industries)と提携した。

 オートモーティブ・ニュースによると、2026年にはボケーショナルトラック(特定の作業用に設計された商用車)の生産を開始する予定で、車両群にはセメントミキサー、バケット型コンテナトラック、ダンプトラックが含まれる。これらの車両には共通の構造を使い、その後はごみ収集車とターミナルトラクターを生産する予定。

 共同事業は、GMの水素燃料電池研究開発部門ハイドロテック(Hydrotec)が担当し、車両製造はアラバマ州バーミンガムにあるオートカーの工場で行う。ハイドロテックのチャーリー・フリース代表は「これらのトラックは燃料電池パワーキューブによってディーゼル車よりも高性能になり、真に堅牢で、機能的、かつゼロエミッションの車両を作れるという新たな基準を設定すると確信している」と話している。

 ハイドロテックの燃料電池は、大型トラック、航空宇宙、機関車、発電などの用途に使える。水素は、特に脱炭素化が難しいこれらの産業にとって少なくとも理論上は良い解決策になる。

 水素燃料電池は通常の蓄電池よりもエネルギー密度が高いため、より小さなパッケージから大きな電力が生み出せる上、水素の補給は電気自動車(EV)の充電よりも短時間で済み、ガソリンやディーゼルの給油に似ている。

 水素技術にはGM以外の自動車メーカーも投資しており、トヨタは最近、欧州に燃料電池システム生産工場を設立する計画を発表した。

 しかし水素はまだ普及が進んでおらず、燃料供給インフラは不十分で、現在の水素製造方法は高価または二酸化炭素(CO2)排出量が多い。電池技術の進歩も水素の価値上昇の障害になっており、例えば長距離トラック運転手が勤務時間内にEVを急速充電し、1日の航続距離を延ばせるようになれば、迅速な水素燃料補給の魅力は相対的に下がる。

 フリース氏によると、ボケーショナル車両は、1日24時間、複数のシフトで常に稼働させることが求められ、長時間の充電には向かない。このため水素に適しており、動きが比較的予測可能なことから、燃料補給所や一般的な移動ルートに水素インフラは適応可能と考えられる。

 GMは、ネル・ハイドロジェンUSと協力して、ゼロエミッションで水素を製造できる電解槽プラットフォームの開発にも取り組んでいる。