Tuesday, April 23, 2024 9:10 AM

グリーンライオン、オクラホマに電池リサイクル工場開設

 リチウムイオン電池のリサイクル技術を開発するシンガポール拠点のグリーン・ライオン(Green Li-ion)は、使用済みリチウムイオン電池から得た未分別の電池廃棄物(ブラックマス)を処理し、持続可能な電池用の正極前駆体、リチウム、負極材料の生産までを1カ所で行う商業規模の工場を開設した。場所はオクラホマ州アトカにある既存のリサイクル施設内。

 エレクトレックによると、現在、北米のリチウムイオン電池リサイクルは、使用済み電池を分別後に細断してブラックマスにし、リチウム、コバルト、ニッケルなどの混合物を硫酸塩に加工した後、中国や韓国など海外に輸出して処理する方法などで行われている。これに対しグリーン・ライオンの新技術は、先進的な湿式冶金技術を採用しており、ブラックマスをさらに加工するために輸出することなく、電池グレードの前駆正極活物質(pCAM)に直接変換できる。

 同社によると、この方法によってpCAMの生産時間が大幅に短縮され、約12時間で得られるようになるという。また、一次原料の加工に比べて温室効果ガス排出量が最大90%削減される。

 種類が異なるリチウムイオン電池から得られたブラックマスを商業規模でpCAMに処理し、99%の純度で提供するのは、北米ではアトカ工場が初めて。同工場では、1日当たりスマートフォン換算で7万2000個分に相当する2トンの電池用pCAMを生産する予定で、今後1年間で生産能力を4倍にする計画。

 グリーンライオンは、米国、シンガポール、韓国、ドイツ、オーストラリアに拠点を持つ国際企業で、オクラホマ工場は他の工場と同様、電池メーカーが求める要件を満たす材料を生産できるという。電池メーカーやリサイクル業者は、ブラックマスと電池廃棄物の処理や正極および負極材の生産を国内で行うことにより、運用やサプライチェーンのコストおよび二酸化炭素(CO2)排出の影響を大幅に削減できる。