Tuesday, July 16, 2024 7:27 AM

メルセデス、EV需要低下で電池生産計画見直し

 メルセデス・ベンツは、電気自動車(EV)の販売予想の引き下げに伴い、2030年までの電池生産計画を見直し、供給拡大は需要の回復を見極めてからにする方針を明らかにした。

 ロイターによると、同社は22年に「20年代末までには容量換算で200ギガワット時(GWh)以上の電池が必要」と予測、パートナー企業とともに欧州の4カ所を含む世界8カ所に電池工場を建設する計画を立てていた。

 しかし、EVの需要は多くの自動車メーカーの予想より低く、メルセデス・ベンツは24年初め「ハイブリッド車(HV)を含む電動車の販売台数が全体の50%に達するのは当初の予想より5年遅い30年以降になる」との見通しを示した。

 マルクス・シェーファー最高技術責任者(CTO)によると、200GWhの生産力が必要になるという22年の予測は、30年までに同社の年間販売台数約200万台のすべてが電動化されるという仮定に基づいていた。

 メルセデスは22年、中国の電池大手CATLがハンガリーに建設中の100GWh規模工場から電池を調達する契約(規模は不明)を結んだほか、同社が30%出資する合弁会社ACCを通じてフランスにある40GWhの工場からも電池を調達する予定だったが、ドイツとイタリアに2つのACC工場を建設する計画は、6月になってEVの需要低迷を理由に中止した。同社は米国と中国にもサプライヤーを持っている。

 シェーファー氏は「当社は比較的柔軟で、次のステップについては需要の透明性が高まってから考える」と述べた。現在のサプライヤーとの関係については「次の段階をカバーするには十分」と付け加えた。

 内燃エンジン車への投資は、排ガス規制に対応するための計画的なアップデート程度にとどめる予定だが、オラ・ケレニウスCEOは2月「需要に対応するため、内燃エンジン車ラインは30年代まで競争力のある内容にしておく」と述べている。

 同社は電池の化学組成と量産管理の強化に力を入れており、本社の新しい電池研究・生産センターでは、1万平方メートルの工場で年間数万個が生産される予定となっている。