Tuesday, April 15, 2025 6:47 AM

「ゴリラガラス」が住宅のエネルギー効率改善で活躍

 アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けに開発された化学強化ガラス「ゴリラガラス(Gorilla Glass)」の技術が、高効率で強じんな住宅用窓に活用され、米国世帯のエネルギー損失抑制に役立ち始めている。

◇壁より優れた断熱材

 ウォールストリート・ジャーナルによると、米世帯はこの新しいタイプの窓によって、年間何十億ドルもの無駄なエネルギーを節約できるほか、広い眺めを確保でき、家を激しい天候にも耐えられるより静かで快適な場所に変えられる。

 ここで最も重要な技術は、普通の厚いガラス2枚に挟まれた非常に薄いガラスで、真ん中のガラスはスマートフォンやタブレット、腕時計のスクリーンに採用された軽くて強く、傷付きにくい技術で作られている。

 一般的な二重窓は、1世紀前の発明以来ほとんど変化していない。不活性ガスの充てんや熱を反射・吸収するコーティングによって効率は高まってはいるものの、ほかの全ての条件が同じなら、家のエネルギー代は窓の数と大きさに比例するというのは昔のままだ。

 ローレンス・バークリー国立研究所の研究員で、建築物のエネルギー効率分野の専門家スティーブン・セルコウィッツ氏によると、窓は通常、断熱性の高い壁よりも1平方フィート当たり10〜20倍もエネルギーを損失するという。エネルギー省の試算では、米国の一般家庭は隙間風や雨漏り、非効率性などの要因で年間200〜400ドルのエネルギー代を無駄に消費しており、国全体では少なくとも年間250億ドルに上る。

 一方、最新の三重窓や四重窓はその周りの壁よりも断熱に優れ、コストは標準的な省エネ型窓より20%ほど高いにすぎない。冬の悪天候で停電しても、何日も暖かさが持続するような高断熱住宅の建設も可能になり、従来型の窓の改良版は、雨戸よりも大幅に軽量であるにもかかわらず国内で最も厳しいハリケーン関連の建築基準を満たせる。ただし、この種の窓は主要メーカーが数カ月前に国内生産を始めたばかりで、まだ近所のホームセンターでは買えない。