Monday, June 02, 2025 7:54 AM
インド自動車が生産停止危機、中国の永久磁石輸出規制で
中国政府がレアアース(希土類)輸出を世界的に規制したことがインドに波及し、早ければ月内にも自動車生産停止に追い込まれることが分かった。ロイターはインド自動車工業会(SIAM)が商工省に緊急対応を申し入れた非公開文書を入手し、報じた。
中国政府が輸出規制しているのはEV向けモーターに不可欠な希土類を使用した「永久磁石(レアアースマグネット)」で、エンジン車のパワーウインドーやオーディオスピーカーなどにも使われる。
SIAMによると、インド向け永久磁石は4月4日以降、中国の港に留め置かれている。
SIAMと、国内最大手マルチ・スズキや、マヒンドラ・アンド・マヒンドラ、タタ・モーターズの大手3社首脳が同省の複数高官と協議の場を持った。
SIAMによると、国内部品メーカーの永久磁石在庫が今月末までに枯渇するとみられ「5月末から6月初めにかけ、自動車産業の生産は完全に停止する見通しだ」。
中国は永久磁石生産者の一部に輸出を承認済みで、この中にはVWに輸出する生産者も含まれる。ただ、大手3社の首脳は
中国とインドの緊張関係が、インド向け輸出の迅速承認の障害になりかねないとの懸念を示した。
SIAMとインド自動車部品工業会(ACMA)は「車両生産に占める永久磁石の輸入コストは微々たるものだが、部品1つが不足するだけで車両生産が不可能になるリスクがある」と指摘している。
インド自動車業界の推計によると、24年度(24年4月-25年3月)の永久磁石輸入は計460トンに上り、中国からの輸入が多くを占めた。今年の輸入見通しは計700トン(3000万ドル相当)という。