Friday, October 31, 2025 7:25 AM

ネクスペリア親会社、輸出再開の条件にCEOの復職要求

 オランダの半導体メーカー、ネクスペリア(Nexperia)の親会社である中国のウィングテック(Wingtech、聞泰科技)は、ネクスペリアが中国工場からの製品輸出を再開するために不可欠な条件として、ネクスペリアの前CEOの復職を要求している。オランダ、中国両政府の対立解消に向けた協議に高いハードルを設けた形だ。ブルームバーグが伝えた。

 オランダ政府は9月末、「深刻な企業統治上の問題」を理由にネクスペリアの管理権を掌握し、10月にアムステルダムの裁判所がウィンテック創業者のシャン・シュエジェン(張学政)氏をネクスペリアのCEO職から一時的に解任した。これに対し中国政府は報復としてネクスペリア製半導体の輸出を停止。世界最大級の広東工場が操業を休止したことで、北米や欧州の自動車生産に影響が出始めている。

 オランダ政府は、張氏がドイツや英国の設備を中国へ移し、特許を中国に移転しようとしていたと指摘し「生産能力や知的財産への脅威」だったと説明。一方、ウィンテックは技術窃盗疑惑を全面否定し「ネクスペリアは完全子会社であるため、技術を盗む必要もない」と反論している。

 両国の対立は供給網に波及しており、暫定的な輸出再開が唯一の現実的解決策とみられている。