Monday, November 10, 2025 7:17 AM
レッドウッド、資金3.5億ドル調達〜エネルギー貯蔵事業を強化
電池リサイクルや正極材生産を手がけるレッドウッド・マテリアルズ(ネバダ州)は、人工知能(AI)データセンター需要の急拡大を受けてエネルギー貯蔵事業を強化するため、3億5000万ドルの資金を調達した。
テッククランチによると、シリーズEラウンドとなる今回の資金調達はベンチャーキャピタル会社エクリプスが主導し、エヌビディアのベンチャー投資部門Nベンチャーズも戦略的出資を行った。関係筋によると、レッドウッドの時価総額は約60億ドルとなり、前回の評価額を10億ドル上回った。
調達した資金は、成長中のエネルギー貯蔵事業に加え、精製および材料生産能力の拡張に充てる予定で、エンジニアやオペレーション部門の人員も拡充する。
レッドウッド・マテリアルズは、2017年にテスラの元最高技術責任者(CTO)のJB・ストラウベル氏が設立。通常は鉱山や塩湖から採取するコバルト、ニッケル、リチウムといった電池材料を、電池生産で出る端材や、電気自動車(EV)・携帯電話・ノートパソコンなどの電子機器の使用済み電池から抽出し、パナソニック、GM、トヨタといった顧客に供給する事業から始まった。
同社はその後、正極材(カソード)生産など電池関連事業を加え、最近はエネルギー貯蔵事業レッドウッド・エナジーを立ち上げて、回収したEV電池を再利用し、AIデータセンターや大規模産業施設向けに電力を供給している。
使用済みだがまだ十分に活用できるEV電池は在庫が豊富で、レッドウッドはそれらを風力や太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力と組み合わせ、オフグリッド電源システムとしてAIデータセンターや工業施設に電力を供給している。こうしたシステムは電力系統(グリッド)に接続することも可能で、天然ガスタービンや将来的な小型原子炉と連携した大規模蓄電も想定している。
同社は北米で使用済み・廃棄電池パックの70%以上を回収しており、25年6月現在、エネルギー貯蔵用に電力量換算で1ギガワット時(GWh)超の電池を保有している。28年までには20GWh規模のグリッド向け蓄電を展開する計画で、世界最大のEV電池パック再利用企業となる見通し。