Friday, November 18, 2016 10:15 AM

東レ、高級車向け炭素繊維の需要増に期待

 BMWが革新的な車体コンセプト「LifeDrive(ライフドライブ)」を打ち出し、東レをはじめとする樹脂サプライヤーが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部品の需要拡大を見込んでいる。

 ワーズオートによると、i3に採用したライフドライブ構造は、パワートレインなどを収めるシャシーの役割を果たすアルミニウム製「Drive Module」と、乗員のためのCFRP製「Life Module」を組み合わせている。

 20年に渡り炭素繊維を供給している東レは、需要が2020年までに、現在の約5000メートルトン(MTN)から1万〜1万5000MTNに、25年までには最大2万MTNまで拡大すると期待を掛ける。競合の帝人と三菱マテリアルも需要拡大を契機とする市場シェアの押し上げを狙っている。

 主要サプライヤーの独SGLグループも、BMWの「i3」と「i8」、「7シリーズ」に炭素繊維を、アウディの新型「A8」とランボルギーニ「ウラカン」に炭素繊維製後部ベンチシートを、ガラス繊維ベースのリーフスプリング(板ばね)をメルセデス「スプリンター」とフォルクスワーゲン(VW)「クラフター」、ボルボ「XC90」に供給している。

 東レによると、炭素繊維の需要が最も見込めるのは、アウディA8や日産「GT-R」、ホンダ「NSX」、レクサスやメルセデスAMG車など高級車やスポーツカー向けのフロアおよびドア構造用パネルだ。

 このほか、トヨタ「ミライ」をはじめとする燃料電池車(FCV)向けの高圧燃料タンクでも需要拡大を見据えている。

 コストが課題だったが、新処理技術の開発に加え、特殊成形技術をめぐる自動車メーカーとサプライヤーの連携促進でCFRPのコストは低下している。