Thursday, July 14, 2016 10:23 AM
レストランの利用が減速〜景気停滞の兆候か
経済の先行きが不透明なことなどを受けて、レストランの利用が減速している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、市場調査NPDグループの調べでは、ファストフード店の利用回数は2015年9月以降、四半期ごとに2%のペースで増加していたが、16年3〜5月期は伸びが止まった。NPDのレストラン・アナリストは「ファストフードは成長分野で外食業界全体の80%を占めるため、伸びが止まるのは危険信号」と警告している。
業界で長年活況を示していたファスト・カジュアル・レストランも、5月はNPDが04年に同分野の調査を開始して以来初めて利用回数が減少し、前月比1%減となった。
レストランは、景気が上向くと真っ先に業績が好転する業界の1つだが、5月は雇用の伸びが減速しており、ガソリン価格も再び上昇を始めたため、こうした経済指標が消費者に外食をためらわせた可能性がある。さらに、英国の欧州連合(EU)離脱による金融業界への影響がこの後退を加速させる恐れもある。
外食離れが進むもう1つの要因として、ファストフード店と食料雑貨店の価格差の拡大がある。最近は一次産品のインフレが鈍化しているため、スーパーマーケットはその恩恵を消費者に還元しており、食料雑貨の価格は5月を含む過去7カ月で5回低下している。一方、レストランの多くは最低賃金の上昇などを受けた人件費の高騰を補うために商品の価格を引き上げており、両者の価格差はリセッション期(07〜09年)を除けば1980年代半ば以降で最大となっている。
このほか、近年は自宅で食べる食事を買える場所がスーパーの惣菜売り場、 材料をまとめて宅配するミールキット会社、コンビニ店など大幅に増えており、調理済みの食事を購入するための店舗利用回数は過去3カ月間に月2%のペースで増加している。
資産運用会社ウィリアム・ブレアのアナリストは「7月は各政党の全国大会、8月はリオ五輪、秋は大統領候補者の討論会と、今後数カ月間は消費者の注意が散漫になる可能性があり、その影響で夏のうちもしくは秋まで外食業界のトレンドが不安定になってもおかしくない」と話している。