Friday, July 21, 2017 10:22 AM

キヤリア、338人を解雇〜大統領就任6カ月の節目に

 空調大手キヤリア(Carrier)は20日、インディアナポリスのボイラー工場で従業員338人を解雇した。

 地元紙インディアナポリス・スターによると、解雇はキヤリアがインディアナ州での人員削減を最小限に抑えるため、2016年12月に大統領就任前のトランプ氏と交わした合意ですでに決まっていた。しかし、その日付はくしくも大統領就任6カ月の節目と重なっており、何らかの含みを感じ取る人は多い。

 今回の削減は、メキシコへの業務移行に伴いキヤリアが17年内に予定している約630人の削減の第1段階。親会社のユナイテッド・テクノロジーズもインディアナ州ハンティントンの工場で700人の削減を計画している。

 キヤリアは19日発表した声明で「インディアナポリスで約1100人の雇用を維持するという昨年の約束は守っている。11月に発表したように、これには本社、技術者、そして世界一流のガスボイラー製造センターを支える800人以上の社員が含まれる」と述べた。今回解雇された社員のうち30人以上は、大学に戻って学位を取得する社員を会社が支援する制度を活用するという。

 キヤリアは16年、インディアナ州の生産業務をすべてメキシコに移し、工場は閉鎖すると発表した。さらにユナイテッド・テクノロジーズがインディアナで2100人の人員削減を発表したため、当時選挙活動中のトランプ候補は「キヤリアの製品に多額の関税をかけてやる」などと両社の動きを強く批判した。

 トランプ氏は選挙で勝利した後、当時インディアナ州知事のマイク・ペンス氏(現副大統領)とともにキヤリアと掛け合い、工場の操業を10年間続行する約束を取り付けた。同社従業員を代表する鉄鋼組合のロバート・ジェイムス氏によると、今回の解雇のほとんどはメキシコへの生産移管と関係しており、約140人は自主的に退職を希望したという。

 大統領と副大統領が工場を救ったという形になっているが、労働者の間に安心感はなく、ジェイムス氏は「彼らはこの工場がインディアナポリスに残るとは信じていない。不確実なことが多すぎる」と話した。氏自身も工場は最終的に閉鎖されると見ている。