Monday, August 14, 2017 11:32 AM

自動車各社、大金かけ勝負〜新しい産業構造にらみ

 自動車業界は現在、コネクテッド(connected=接続性)、オートノマス(autonomous=自動運転)、シェアード(shared=相乗りサービス)、エレクトリック(electric=電気自動車)の頭文字から成る「CASE」をめぐって世界規模のギャンブルに多額を投じている。

 オートモーティブ・ニュースによると、GMやフォードなどは長丁場に備えて賭け金を分散しているが、テスラなどシリコンバレーの新参企業は持ち金すべてをつぎ込んでいる。

 全員が勝ち残れないことは明らかで、コンサルティング会社アリックスパートナーズのジョン・ホフェッカー国際副会長は「間違った場所に賭けられた多額の資金が失われる」と見ている。同社の最新報告書「Global Automotive Outlook(世界自動車産業概観)」は、新しい自動車産業構造を形作るCASEの流れをつかもうとし、業界が直面するギャンブル的要素と課題に焦点を当てている。

 ホフェッカー氏は、新世界で勝ち残るのは少数の企業で、残りは先行する企業の技術を採用しなければならなくなるか、市場から脱落すると見ている。従来の業界の問題に対応しつつ新興テクノロジーを迅速にうまく受け入れられる企業が最終的に最も成功すると考えられ、「4、8、10年ではなく1、2、3年周期で考える、消費者家電に近いビジネスへと自社の組織を変える方法を見出した者が、将来の大きな勝者になる」という。

 報告書には新しいトレンドのほか、共有モビリティサービスに関する成人消費者2000人を対象とした世論調査結果が含まれている。

 アリックスによると、予想ほど大きな成果が出ていない分野は、ジップカーやカー2ゴーのような車の共同利用サービスで、近年はウーバーやリフトといった相乗りサービスの人気を受け、消費者の関心が大きく低下している。この変化は新車販売にとっては朗報で、共同利用に使われる車は1台で個人の車19台分に相当するが、相乗りでは4台分にとどまる。

 同社は、米国の新車販売は17年に1690万台、19年には1520万台と減少が続くものの、その後は増加に転じて22年には1680万台に回復すると予想する。変化の理由は、インセンティブ(実質値引き額)の上昇が予想されることと、17年はリースを終えた中古車が前年より50万台も多く市場に入ってくるため。これで中古車市場に消費者が集まり、再販価値の上昇や信用基準の引き締めで新車のリース価格が上昇する可能性が高くなる。