Friday, September 08, 2017 9:46 AM
マーズ、供給網を環境対応型に〜排ガス削減の新目標設定
製菓大手マーズ(Mars、バージニア州)は、地球温暖化対策の新しい国際的枠組み「パリ協定」の目標達成に貢献できるよう、サプライチェーン(原材料・製品の供給網)全体で環境問題への取り組みを強化する。
ロイター通信によると、同社はこれまで「二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス(GHG)の排出量を2020年までに07年比で40%減らす」という目標を掲げていたが、これを拡大して「50年までにサプライチェーン全体で67%削減する」という新しい目標を設定し、実現のために10億ドルを投じる計画。
グラント・レイドCEOは「より資源効率の高いサプライチェーンを構築することで、市場で優位に立ちたい」と話している。トランプ大統領は6月、すでに施行されているパリ協定からの米国の離脱を発表した。この動きは化石燃料業界からは評価されたが、他の業界からは批判も出ており、一部の企業はあらためて環境への取り組みを続ける意思を表明している。
マーズは、農作物の収量を増やすためカカオなどの遺伝子解析を進めるほか、ハッカ油メーカーなどのサプライヤーと代替エネルギー発電に切り替える可能性について協議を始めている。同社は米国と英国における事業ですでに代替エネルギー由来の電力を使っているほか、カカオ、コメ、ハッカなど同社にとって重要な農作物の生産における貧困の削減を目指し、農水産分野の人権問題にも取り組んでいる。
マーズ製品に必要な2つの材料であるカカオとパーム油は、その生産過程で搾取的な労働や違法な森林伐採が行われることが多い。社内問題担当のアンディ・ファラオ副社長は「強制労働の問題の改善には非常に力を入れている。行動はいろいろあるが、まずは情報の透明性を高め、それを明示することから始まる」と話している。