Tuesday, September 12, 2017 12:45 PM
油井の廃水からリチウム抽出〜カナダ企業、商用化目指す
バンクーバー拠点のMGXミネラルズ(MGX Minerals)は、原油掘削の過程で排出される廃水からリチウムを採取する方法を商用化しようとしている。
グリーンテック・メディアによると、原油掘削の際に出る水は現在、廃水として捨てられるが、リチウムイオン電池の製造に使える炭酸リチウムを含んでいる。MGXミネラルズは、その炭酸リチウムを2017年末までに商業利用できるようにする計画だ。
同社は17年8月、毎時1立方メートルの水を処理できる試験施設を使って掘削現場からの廃水を処理したと発表している。処理によって抽出されたリチウムとほかの鉱物、および処理後の水の純度の分析結果は近く判明する見込み。
MGXミネラルズのジャレッド・レイザーソンCEOは「廃水利用について多数の石油、ガス会社と協議している。ユタ州にある自社施設での活用も検討している」と話している。
レイザーソン氏によると、「MGXで生産可能なすべて」を買い付けたいという会社がすでにあり、リチウム化合物への需要はきわめて高いという。
廃水からリチウムを抽出するコストは、廃水の質によって変わる。鉱物を多く含んだ廃水は処理に費用がかかるが、得られる価値も大きい。
MGXミネラルズは、現時点で1バレル当たり1ドル前後で廃水から石油とほかの不純物を除去し、さらにそこからリチウムとほかの鉱物を同程度のコストで抽出できるという(レイザーソン氏)。
抽出に使うサンプルの再生利用工程を改良して、将来はコストを半減できると同氏は考えている。それが実現すれば、ボリビアやアルゼンチン、チリのリチウム主要生産国での通常の工程と変わらない競争力になるという。