Tuesday, August 02, 2016 9:58 AM

医療支出の伸びが加速〜15年、今後10年も増加傾向

 2015年は国内の医療支出の増加率が加速し、今後10年間も支出は増え続けると予想されている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ヘルス・アフェア誌に掲載された連邦メディケアおよびメディケイド・サービス・センター(CMS)の報告書では、医療支出の伸びは14年の5.3%から15年は5.5%となり、16年は4.8%とやや減速するものの、25年には6%に達すると予想されている。

 13年までの5年間の増加率は平均4%以下で、政府が調査を始めた1960年代以降で最も緩やかな伸びとなっていた。増加ペースが加速している主因は、経済の回復、医療費の高騰、ベビーブーム世代の高齢化などが考えられる。また、14年と15年の伸びは、医療保険改革法(ACA、通称オバマケア)の下で保険の適用範囲が拡大され医療サービスの利用者が増えたことも影響している。

 それでも年8%近いペースで増加していた08年以前の20年間に比べれば大幅に減速しているが、その背景には、民間保険における患者の自己負担の増加や、メディケア(高齢者医療保険)支払いに関するさまざまな条件の刷新もある。向こう10年は無保険者も減り続け、14年の11%から25年には8%に下がると予想されている。

 ベビーブーマーの高齢化は、65歳以上が対象となるメディケア支出の増加を意味する。メディケア支出の増加率は、16年は5.2%と予想されているが、17〜19年は平均6.7%に加速すると見られ、対象者は15年の5400万人から25年には約7200万人に増える見通し。

 処方薬支出は15年の8.1%増から16年は6.3%増に減速すると見られる。