Thursday, August 04, 2016 11:30 AM

今年のボトル水販売、初めて炭酸飲料抜く勢い

 米国のボトル入り飲料水販売が、今年は初めて炭酸飲料を上回りそうな勢いを見せている。

 ブルームバーグ通信によると、飲料水メーカー大手ネスレ・ウォーターズ、コカコーラ、ペプシコ、ドクターペッパー・スナップル・グループはいずれも、缶入りソーダと同じように携帯しやすい上、ノンカロリーであることを理由に、消費者は炭酸飲料からボトル水に切り替えたとみている。しかし理由はほかにもあり、社会基盤の老朽化と深く関係しているようだ。

 ミシガン州フリントやワシントンDC、ニュージャージー州ニューアークでは現在、水道管の腐食によって飲料水が鉛に汚染されている。環境保護局(EPA)によると、水道のインフラ改善には2030年まで計3840億ドル以上の予算が必要になる。環境団体のウォーターキーパー・アライアンスの試算では、インフラ改善に充てられている予算は現在年にわずか14億ドル程度であるため、このままではEPAの推定額に達するのは2290年になる計算だ。

 ボトル入り飲料水は水道水より平均で2000倍コストが高いほか、環境への悪影響も指摘されている。シンクタンク太平洋研究所のデータによると、ボトル水の生産には容量の3倍の水が使われている。

 それでも業界誌ベバリッジ・ダイジェストによると、2015年の米国人1人当たりの炭酸飲料消費量は30年ぶりの低水準だった。一方、16年のボトル水消費量は1人当たり27.4ガロンと、炭酸飲料より1.2ガロン多くなると予想されている(ユーロモニター調べ)。

 ペプシコとドクターペッパーの16年第1四半期は、ボトル水事業が2桁成長を記録した。同期のペプシコの炭酸飲料販売は前年同期比で2%減少だった。