Monday, April 09, 2018 11:59 AM
レーザー技術で死角を可視化〜スタンフォード研究班
スタンフォード大学の研究班は、死角に隠れて見えない物体の画像を作成する新しいレーザー基盤システムを開発した。自動運転車向けの周囲検知システムに応用することで、物陰の人や動物の存在を把握し、それらが急に飛び出してきた場合の事故を避けられる可能性がある。システムの研究論文は科学誌ネイチャーに掲載された。
ガーディアン紙によると、スタンフォードの研究では、物体の横に設けた壁の前にレーザー光子センサーを設置し、センサーと物体との間に仕切りを置き、壁に向けてレーザー・パルスを斜めに放射し、その反射が物体に当たって最後に散乱した光を集めた。
研究班のマシュー・オトゥール氏は、「2番目、3番目、そして4番目の(光の)反射を探すことで物体の存在を検知する。それらは隠れた物体を符号化している」と説明する。
従来の集光方法は、壁の一点にレーザー・パルスを照射し、ほかの点から信号を集める。これに対しオトゥール氏らの方法は、レーザーとセンサーの両方を壁の同じ一点に向け、反射光から信号を取り除いて、残った信号をアルゴリズムによって高速処理することで、隠れた物体の形を再現する。
研究班は新開発のシステムを使って、仕切りで隠した出口標識の画像を再現することに成功した。道路標識や自転車の反射鏡はもともと光を反射しやすいため、同システムで認識しやすい。
一方で課題もある。壁を最初にスキャンするのに1分以上かかり、場合によっては数時間を要することもある。また、光をあまり反射しない物体や、子どもや動物のように次の動きの予想が難しい対象の検知精度を上げる必要もある。さらに、太陽光の下でも機能するようにシステムを改良する必要がある。