Monday, April 08, 2019 10:11 AM

アルミ精錬技術のエリシス、ケベックに研究施設開設

 温室効果ガス(GHG)を出さない画期的な製錬技術の開発に取り組むエリシス(Elysis、本社カナダ)は、ケベック州のサグネ・ラック・サン・ジャン地域に新しい研究開発施設を開設する。フル稼働時には25人以上の専門家を直接雇用する計画。

 グリーンカー・コングレスによると、エリシスは、アルミ大手アルコアとリオ・ティントの合弁事業で、アルミの製錬工程からGHGを完全に排除し、純粋な酸素しか排出しない技術を2024年までに商業化しようとしている。この工程は世界規模でアルミ業界の環境影響を減らす可能性を秘めている。

 新しい研究開発センターは、リオ・ティントのArvida精錬所、Vaudreuil製油所、Arvida研究開発センターがあるComplexe Jonquiereに設置され、20年下半期には本格稼働する予定。

 サグネ・ラック・サン・ジャン地域は、アルミ業界の専門知識が豊富で、州とカナダ政府から資金援助も受けている。

 エリシスのチームは、この特許技術が発明され、09年から金属の生産を行っている米ピッツバーグ近郊のアルコア技術センター(ATC)とも緊密な連携を続ける。ATCはこの先進的な製錬工程に不可欠な独自のアノードやカソード材に関して支援する。

 エリシスの工程は、アルミ製錬所の操業コストを削減しつつ生産能力を拡大させ、新しい精錬所にも既存の精錬所にも使用でき、カナダだけでGHGの排出量を700万トン(ガソリン車180万台分に相当)削減できる可能性がある。