Thursday, October 03, 2019 10:17 AM
世界初、自律運行船の実証実験〜日本郵船、中国-名古屋-横浜
日本郵船は、国際海事機関(IMO)が定めた「自動運航船の実証試験を行うための暫定指針」に基づき、世界初の有人自律運航船の実証実験を行った。
グリーンカー・コングレスによると、同社は総トン数7万826トンの大型自動車専用船「イーリス・リーダー(IRIS LEADER)」に自動航行システム「Sherpa System for Real Ship(SSR)」を搭載し、中国・新沙から名古屋港(9月14〜17日)、さらに名古屋港から横浜港(同19〜20日)までを、乗組員による通常の当直体制を維持したまま昼夜航行した。
SSRは、周囲の状況に応じて最適な針路を計算し、船を安全に航行させるシステム。実験では、SSRが航海計器からのデータを基に周囲の状況を把握して衝突リスクを計算し、安全かつ経済的な避航針路(他船との衝突を避ける針路)や速度を選択して自動操船するまでの一連の働きを、海上で実際に行いながら監視・評価した。
この結果、陸上の模擬実験だけでは得られないさまざまなデータが得られ、SSRが安全性や効率性の高い運航に貢献できることや実用化の可能性を確認することができ、日本郵船が目指す有人自律運航船の実現に向けた大きな一歩になったという。
同社は今後、データをさらに分析し、SSRが導き出す最適な針路と経験豊富な人間が下す判断との違いを調整して、より高度な操船支援技術に改良する。将来は人手不足が深刻な国内を運航する貨物船にも活用する予定。