Wednesday, January 06, 2021 9:31 AM

バイ・アメリカン政策強化に賛否両論

 ジョー・バイデン次期大統領が公約している米国製品の購入や国内生産の促進政策には、コストの上昇や供給網の複雑化などを懸念する声がある一方、必要というメーカーも多い。

■全体の利益にはならず

 ウォールストリート・ジャーナルによると、バイデン氏はトランプ政権の「バイ・アメリカン」路線を継承、強化する意向を示している。具体的には、国産の鉄鋼などを使うインフラ整備事業や新型コロナウイルス感染症治療に従事する医療関係者のための個人用防護具(PPE)の購入などに連邦政府が4000億ドルを支出し、新製品の研究・開発に3000億ドルを費やすことなどを提案した。

 一部の経済学者や貿易専門家などは、こうした政府の購入は一部のメーカーの助けになるかもしれないが製造業全体に有益とはならず、価格の上昇や米国の輸出品に対する報復関税といった危険も伴うと指摘する。国際的な供給網や外国の需要に依存するメーカーの多くは、すでにトランプ政権の中国製品に対する2桁の関税でビジネスに打撃を受けており、米国製品の購入義務付けでさらに打撃を受ける恐れがある。

 グローバルに事業展開する安全器具の製造業者でつくる国際安全器具協会(ISEA)は、PPEの国内製造を義務付けると、他国が独自の制限を設けた場合に供給網の柔軟性が損なわれる可能性があると指摘する。