Friday, March 26, 2021 8:21 AM

IPO目指すトゥーシンプル、損失はすでに3億ドル超

 完全自動運転の長距離トラックを開発する新興企業トゥーシンプル(TuSimple、カリフォルニア州)は、過去3年間で3億ドル以上の損失を出していることが、新規株式公開(IPO)に向け証券取引委員会(SEC)に提出された書類で明らかになった。

■中国との関係に懸念

 ウォールストリート・ジャーナルによると、同社はシリコンバレーを拠点とする他のライバルよりも多くの資金を集め、カリフォルニアと中国で業務を行っている。2021年内には「TSP」のティッカーシンボルでナスダックに株式を上場する予定で、今回公開された情報によって同社の財務状況の詳細が初めて分かった。

 中国とのつながりは米規制当局の目を引いており、複数の省庁で構成する対米外国投資委員会(Cfius)は同社を審査に値する企業に特定。2017年以降の中国からの投資について調査していることを同社に通告した。国防総省は自動運転技術を安全保障上重要な技術と見なし、外国への流出を警戒している。

 提出書類によると、トゥーシンプルの最大の個人株主は、共同創設者のモー・チェン氏とシャオディ・ホウ氏で、それぞれ会社の約9%の株式を所有する。ほかの大口投資家には、7%以超を保有する香港のヘッジファンド、コンポジット・キャピタルや、6%超を保有する米国の商用トラック大手ナビスター・インターナショナルなどが含まれる。

 トゥーシンプルは、自動運転のセミトラックを開発するため、ナビスターやフォルクスワーゲン(VW)の商用トラック製造子会社トレイトン・グループ(Traton Group)と提携しており、トレイトンはナビスターの買収を進めている。