Tuesday, July 06, 2021 9:36 AM
USスチール、クリーン水素生産でノルウェイのエネ大手と提携
鉄鋼大手USスチールとノルウェイのエネルギー大手エクイノール(Equinor)はこのほど、オハイオ、ペンシルベニア、ウェストバージニア州でクリーン水素生産の可能性を探る試験を共同で行う覚書に調印した。水素と二酸化炭素(CO2)の回収と貯留(CCS)についても、技術面と商業面での可能性評価を行う。
水から生成でき、CCS技術との組み合わせで天然ガスからも生成できる水素は、燃やすと水だけを生成するクリーンな燃料であり、鉄鋼、化学といった産業の脱炭素化にもつながると期待されている。
ロイター通信によると、USスチールは声明で「水素由来の鉄鋼の製造工程とCCSは、現在開発中の技術の中でもより有望で持続可能な技術だ」と述べた。
エクイノールはアパラチア盆地で天然ガスを生産している。英国でも天然ガスからクリーン水素を生産する事業に着手する計画で、ノルウェイでは海洋CO2貯留施設の建設を進めている。
エクイノールの米国担当マネジャー、クリス・ゴールデン氏によると、アパラチア盆地の天然ガスを使った水素生産は、排出するCO2を回収して貯蔵することで米国の気候変動対策の目標達成に貢献する可能性がある。
現在、世界の水素のほとんどは天然ガスか石炭から生成されており、その生成過程で出るCO2は大気中に放出されている。
しかし米エネルギー省によると、クリーン水素の生産コストは割高で、1キロ当たり約5ドルかかる。バイデン政権は10年でクリーン水素の生産コストを80%削減し、1キロ=1ドルにする目標を掲げている。
また、グローバルCCSインスティチュート(オーストラリア)の最新報告によると、CCSと組み合わせて天然ガスもしくは石炭から水素を生成するコストは1キロ=約2ドルだという。