Friday, July 30, 2021 10:46 AM
車の半導体不足は緩和へ〜次はスマホに影響と業界幹部
世界中で発生している半導体不足は2022年まで継続する可能性がある。そして製造業界への悪影響は、現在の自動車から次はスマートフォン生産に移るかもしれないと、業界幹部やエコノミストは推測している。
ロイター通信によると、オランダING銀行のグレーターチャイナ担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は最近の討論会で「2021年、半導体不足で最も苦境に陥ったのは自動車業界だが、事態は比較的早期に改善される可能性がある。台湾の半導体業界が対応できなかった自動車向け需要の一部を中国が引き受けたためだ」と述べた。
パン氏によると、台湾の半導体企業は、停電と新型コロナウイルスのソーシャルディスタンス対策によって工場生産と港湾運営に混乱が生じたため、中国での増産を推し進めた。「中国は半導体不足を機に国内総生産(GDP)を5%増加させた。台湾の半導体企業は計画的に中国本土に工場を建設した」。パン氏は、次に生産面の障害に直面する業界はスマートフォン・メーカーだと予測する。
世界のさまざまな業界の企業が、半導体確保に苦労している。半導体製造装置の世界大手ASML(オランダ)は最近、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)や米インテルなどの半導体大手による増産競争を背景に受注が増えるとの見方から売上高予想を上方修正した。
エイカン・セミコンダクター(AKHAN Semiconductor、イリノイ州)の創業者アダム・カーン氏は、幅広い分野の半導体不足は22年上半期まで続く可能性があると述べた。ただし「野心的観測」に基づく見方だという。
半導体関連のスタートアップ、セレブラス・システムズ(Cerebras Systems、カリフォルニア州)のアンドリュー・フェルドマンCEOは、業者は新品の半導体と機器のリードタイムを32週間と読んでいると指摘し、カーン氏と同じ見方を示した。
在宅勤務に対応するための1回限りのコンピューター機器購入や、スマートフォンその他の電子機器の継続的な人気に支えられた高い半導体需要により、半導体業界は21年に21〜25%の成長が見込まれている(半導体製造装置業界の調査会社VLSIリサーチ)