Monday, November 29, 2021 9:12 AM

電池関連の金属確保が重要に〜自動車メーカー各社

 自動車メーカー各社の野心的な電動化目標を達成するのに必要な量のバッテリーを作るには、既存のサプライチェーンの流通量をはるかに上回るリチウムやコバルトといった金属が必要になる。それらのある場所を探して安全に採取することは、従来の自動車事業とは全く異なる複雑な仕事だが、EV時代に成功するにはこうした仕事が不可欠となる。

■国内の閉ループ供給網も可能

 オートモーティブ・ニュースによると、車の製造は長年にわたって自動車事業の基盤だったが、EV用電池はまだ大規模なサプライチェーンが確立されていないため、メーカー自身が早期から関与する必要に迫られている。このため自動車各社は、リチウムなど主要な金属の採取場を開設するための提携、金属を倫理的かつ責任ある形で流通させるための企業連合(コンソーシアム)への参加、EV製造における二酸化炭素(CO2)排出量の削減、使用済み電池のリサイクルと再利用の計画策定などに取り組んでいる。

 また自動車メーカーは、新型コロナウイルス禍を受けた半導体不足を要因とする世界的な生産制限で、サプライチェーンをより細かく制御し可視化することの重要性も強く認識しており、自動車工場の近くに電池製造工場を建設している。

 原材料の採取、電池のリサイクル、処理についても、可能なら同じ事が起こると考えられる。現在、電池で使うリチウムの大部分はオーストラリア、南米、中国で採取されているが、米国にリチウム採取場ができ始めている。シュルンベルジェ・ニュー・エナジーがネバダ州で行っているリチウム採取の試験事業ネオリス・エナジー(NeoLith Energy)の業務責任者は「リチウムがそこにあれば、最終的には電池の正極材製造施設ができると考えている。リチウムが地球の反対側から運ばれたり、輸送中に大量の排ガスを出したりすることのない現地完結型の供給網で、ブライン(リチウムを含んだ塩水)から電池までを賄う真に持続可能な製品と工程を持てるようになる」と話す。