Monday, December 06, 2021 9:02 AM
電動トラック生産コスト、物価上昇でディーゼルより割高に
電動トラック製造の新興企業ニコラのマーク・ラッセルCEOはこのほど、サプライチェーン(供給網)の局所渋滞と全般的な物価高騰により、これまで着実だった電気自動車(EV)用電池の価格低下が一時的に上昇に転じ、電動トラックの生産コストがディーゼルエンジン車より高くなっていることを明らかにした。
ロイター通信によると、ラッセルCEOは「電池のコストはこの10年間毎年下がっていたが、今年は初めて上がった」と述べた。ニコラとそのパートナーであるイタリアの商用トラック大手イベコ(IVECO)は、ニコラの欧州向け電動トラック「トレ」の組み立てを始めており、2022年1〜3月期には同トラックの量産を開始する予定だ。
ラッセル氏によると、電動トラックや燃料電池トラックの需要は堅調だが、クリーンな代替燃料トラックの普及には運用コストがディーゼルトラックより安いことが重要になり、今はサプライチェーンのボトルネックとインフレによって、電動および燃料電池モデルとディーゼルモデルの技術コストの入れ替わりが遅れている。
ラッセル氏はこの状況を一時的と見ているが、まだ利益を出しておらず資本が潤沢な既存のトラックメーカーとの競合で苦戦している新興のニコラにとって、物価の上昇はひとつの課題となっている。同社は8月、サプライチェーン問題を理由に21年の業績見通しを引き下げている。