Thursday, December 23, 2021 8:23 AM

GM、EV用磁石の国内調達で2社と提携

 GMは、EVモーターに使う永久磁石調達で、ネバダ州ラスベガス拠点のMPマテリアルズ(MP Materials)およびドイツのバキュームシュメルゼ(Vacuumschmelze)と供給契約を結んだ。

 ロイター通信によると、GMは25年までにEV用プラットフォーム「アルティアム」の材料を米国内で調達することを目指している。

 バイデン政権は、米国でEVサプライチェーンの投資や雇用を増やして中国への依存を減らすため、税制上の優遇措置などを通じて自動車メーカーに圧力をかけている。EVモーター用の磁石に使われるレアアース(希土類)やレアアース磁石は中国が世界最大の生産・消費国となっている。

 MPマテリアルズは、契約の一部としてテキサス州にネオジム鉄ボロン(NdFeB)磁石の生産施設を建設し、GMがEV50万台分のモーターを製造できる量の磁石を供給する。施設は23年までに稼働する予定で、必要な希土類はカリフォルニア州の鉱山から調達し、加工も鉱山で行う。

 MPは現在、鉱山から採取した希土類の加工を中国に依存しているため、売り上げを全面的に中国に依存する形となっている。また、株式の8%近くを中国企業が所有する構造を米国政府が懸念しているが、同社は以前から「独立企業であり中国の利益を優先するような圧力は感じていない」と主張している。一方、米国防総省も「米国にはより多くの希土類鉱山が必要」として、MPが関連するいくつかのプロジェクトに出資している。

 バキュームシュメルゼは、米国内にGMと共同でレアアース磁石工場を建設し、24年の生産開始後は現地で調達した原材料を使用する計画。

 GMはかつて希土類磁石の世界大手マグネクエンチ(Magnequench)を傘下に持っていたが、1995年に同部門とその特許を中国の提携企業2社を含むコンソーシアムに売却している。この売却はGMが中国の自動車市場で成長するのに役立ったが、米軍の科学者らが最初に開発した希土類磁石技術も中国に渡った。最終的にNdFeB磁石の生産も中国に移り、米国にはNdFeB磁石の工場がなくなった。