Wednesday, January 19, 2022 7:15 AM
アプティブ、ウィンドリバーを43億ドルで買収
自動車業界の自動運転・電動化関連支出が増える中、自動運転技術開発のアプティブ(Aptiv、ミシガン州)はこのほど、ソフトウェア開発のウィンド・リバー(Wind River、カリフォルニア州)を現金43億ドルで買収すると発表した。商品ラインの拡大が目的。
ロイター通信によると、アプティブにとっては2017年にデルファイ・テクノロジーズからスピンオフして以来最大の取引となる。ソフトウェア制御型車両へと移行する市場の波に乗り、複数の市場分野に広がるウィンド・リバーの顧客を通して収入源の多様化を狙う。
ウィンド・リバーは、プライベートエクイティ会社TPGキャピタルが所有しており、自動車、航空宇宙、防衛などの業界向けにソフトウェアやクラウドシステムを開発している。
アプティブのジョー・マサロ財務責任者は「ウィンド・リバーのソフトウェアを使用することで、より費用対効果の高い形でより迅速に新製品を導入できるようになる」と話している。
情報筋によると、TPGは18年にウィンド・リバーがインテルから事業分離した際、約5億ドルで同社を買収した。ウィンド・リバーはその後、産業、防衛、自動車のほか第5世代(5G)移動通信システム分野にも製品を拡大しており、アプティブや通信大手ベライゾン・コミュニケーションズを含め、世界に1700以上の顧客を持つ。
ウィンド・リバーの売上高は21年の約4億ドルから26年には10億ドルに増加すると予測され、CFRAリサーチのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏はその根拠を「大きな長期的成長の可能性と、強い長期的な追い風を伴う自動車業界以外への多様化」と説明する。
アプティブは、ステランティス、フォルクスワーゲン(VW)、GMなどを顧客に持ち、21年の大半はサプライチェーン問題への対応に追われたが、自動運転システムの強い需要は明るい材料となっている。21年の売上高は推定151億〜155億ドルと過去7年間で最高となる見込み。買収資金は手元の現金と負債で調達する予定。