Thursday, March 31, 2022 6:55 AM
マースク、エインライドのトラックで北米事業を電動化
デンマークの海運大手APモラー・マースクは、自動運転の電動トラック開発に取り組むスウェーデンの新興企業エインライド(Einride)と5年契約を結び、北米事業の電動化を進めている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、エインライドはマースクの北米事業(倉庫、流通、輸送)向けに、デジタルおよび電動貨物輸送のサポートと、トラックの運用システムを提供する。この契約はカリフォルニア州ロサンゼルス、イリノイ州シカゴ、ニュージャージー州ニューアーク、ジョージア州サバンナが対象。
マースクのベンチャー部門マースク・グロウス(Maersk Growth)はエインライドの投資家でもあり、2021年は1億1000万ドルの資金調達ラウンドに参加している。マースクは、40年までに世界ビジネス全体で二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする公約を掲げており、今回の契約は貨物取扱量の拡大やサステイナビリティー戦略の促進に役立つ。
両社は23〜25年に、300台の大型電動トラックを導入する予定。これほどの規模の大型電動トラックの導入例はこれまでにないという。マースクはトラック自体を購入するのではなく、電動の運搬能力を使用する。
フランスの海運調査会社アルファライナー(Alphaliner)によると、マースク・ラインは取扱量で世界第2位のコンテナ船会社だが、海上貨物だけでなく一連の買収を通じて内陸の物流にも事業を拡大する戦略を進めており、22年2月には北米の大型貨物輸送能力強化を図って米国のロジスティクス業者パイロット・フレイト・サービシズ(Pilot Freight Services、ペンシルベニア州)を16億8000万ドルで買収した。
マースクの北米における長期目標は、トラック輸送車両の完全電動化だという。マースク・ノースアメリカのナリン・フォル地域代表取締役は「これが成功すれば、米国の全ての港湾都市で同様の事業を展開しない理由はない」と話している。