Monday, April 11, 2022 7:15 AM

グレンコア、エレクトラから電池用再生材料を購入へ

 スイスの資源大手グレンコアは、カナダのリチウムイオン電池材料会社エレクトラ(Electra)から再生ニッケルと再生コバルトを購入するオフテイク契約(長期供給契約)を締結した。

 エレクトラのプレスリリースによると、この契約によって供給されるニッケルとコバルトは、エレクトラがトロントに建設する電池材料加工施設「バッテリー・マテリアル・パーク」で、ブラックマス(コバルトやニッケルなどを含む使用済み電池の破砕くず)から精製される。

 グレンコアはすでにカナダのサドベリー精錬所で熱を利用した乾式精錬法によってブラックマスを処理しているが、エレクトラの精錬所では湿式精錬法を使う。この方法は、低コストで資源回収率が高いだけでなく、地球温暖化ガス(GHG)排出量がほぼゼロになるため、サプライチェーン(材料供給網)の二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す電気自動車(EV)メーカーにとってますます魅力が高まっている。

 エレクトラの精錬所は約8000万ドルを投じて建設され、2023年の操業開始を予定している。同社は最初、4つの家電メーカーから出るブラックマスの処理から始め、その後北米のEV用電池メーカーから出る新品のスクラップ材料の処理へと移行する予定。

 このブラックマス精錬所は、コバルトや硫酸ニッケルの精錬所およびそこで精錬された材料を使った電池正極材前駆体の生産施設を含む同社の4段階プロジェクトの1つで、北米初のコバルト工場は22年12月に稼働を開始する予定だ。

 北米EV市場の需要の大半は新品の材料が占める見込みだが、両社の提携によって地域密着型の再生材料サプライチェーンの構築が促され、外部供給への依存度が下がって価格も少し下がると期待されている。