Wednesday, May 11, 2022 7:02 AM

アグコ、ランサムウェア攻撃でトラクター販売できず

 農機大手アグコ(AGCO、本社ジョージア州)は、5日に発生したコンピューターシステムへのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃で一部の生産業務に支障が出ており、重要な作付けシーズンにトラクターの販売が停滞している。

 ロイター通信によると、同社は世界中のデジタルシステムに影響を受けており、現在は被害範囲の特定やシステムの修復に取り組んでいるところで、影響は「数日間またはそれ以上」続くと予想している。

 テネシー州の農機販売店B&Gイクイップペントのティム・ブラノン社長によると、アグコのウェブサイトは5日朝から閲覧が不能で、注文や部品検索ができない状態にある。「1年で最も忙しい時期に差し掛かり、われわれの業務や顧客に大きな損害が生じることになるため、一刻も早い終結を信じるしかない」

 アグコは世界42カ所でトラクターやコンバインの販売、製造、組み立てを行っており、北米には1810軒のディーラーがあるが、これ以前からサプライチェーンの混乱や労働者のストライキなどで農家からの需要に応えられない状況にあっただけに、ディーラーは注文への対応に苦慮している。アグコは各ディーラーに対し「業務上最も重要なシステムを優先させている」と伝えている。

 米国では近年、コロニアル・パイプラインの送油網や食肉加工世界最大手JBSなど、国内に拠点を持つ食品会社や燃料会社を標的にしたランサムウェア攻撃が発生しており、21年秋には中西部の少なくとも3つの穀物取扱業者がランサムウェア攻撃に遭っている。