Thursday, May 12, 2022 6:50 AM
ボッシュ、グリーン水素関連で5億ユーロ投資
独自動車部品大手ボッシュは、輸送分野などにグリーン水素(生産過程で環境に影響を与えない水素)を普及させると期待されている水電解装置の中核コンポーネント「スタック」の開発に5億ユーロを投じる。
オートモーティブ・ニュースによると、同社は2025年に電解槽スタックの生産開始を目指しており、同装置の市場は30年までに140億ユーロに達すると見込んでいる。スタックは数百のセルの集合体で、各セルで水を水素と酸素に電気分解する。グリーン水素は、風力や太陽光など再生可能エネルギー由来の電力を使って生産した水素。
スタックの開発には、燃料電池パワートレインに関する既存の専門知識を活用する。ボッシュはセンサーから燃料電池モジュールまで多岐にわたる水素製品を製造しており、産業用や電気自動車(EV)の充電施設として使う据え置き型燃料電池も開発している。
水素エネルギーはまず長距離トラック市場での採用が見込まれているが、将来は乗用車への応用も考えられ、ステランティスとルノーはすでに限定生産の商用バンを販売しているほか、トヨタは数年前から乗用車で燃料電池車(FCV)「ミライ」を販売している。
燃料電池技術は、コストや燃料補給インフラの不足からモビリティー分野ではまだ限定的な市場だが、ボッシュやフォルシアなどの部品大手は、規模の拡大と脱炭素化の推進によって価格が下がると期待しており、中国、フランス、ドイツなどは水素関連のインフラ、技術革新、産業化の支援に数十億ユーロを投資している。
燃料電池の化学反応は、固体高分子電解質膜(PEM)によって促進され、ボッシュは電解スタックに同じ技術を使用する予定。パートナーと協力して、このスタックをパワーエレクトロニクス、制御装置、センサーといったスマートモジュールと組み合わせる計画だ。