Friday, June 03, 2022 7:15 AM
デジタル技術が建設現場の負傷リスク低減に貢献
建設業界における事故および負傷のリスク管理に最新技術が活用されている。
プロパティー&カジュアルティー360誌によると、建設事業は昨今、ますます複雑化する一方で工期が短くなる傾向にある。供給網や労働力不足といった問題がその要因となっており、建設会社や損害保険会社にとってリスク管理は急務だ。
セントリー・インシュアランス(Sentry Insurance)の地域商品担当者マイケル・テン氏は「それらの要因がコストを増やし、保険料を高める結果につながる。いままで以上にリスクを管理し、事故を減らし、安全意識を維持することが重要になっている」と話す。
新型コロナウイルスの感染拡大中、中小の下請け業者は廃業に追い込まれることもあった。そのため「大手施工業者は、いままでよりも多くの責任を自社で引き受けるか、新しい下請け業者と関係を構築しなければならず、これまで以上に圧力を受けるようになり、それらがさらなるリスクをもたらしている」と、セントリー・インシュアランスで安全性サービス管理者を務めるランディ・ドムブロースキ氏は説明する。
トラベラーズ・インデムニティー(Travelers Indemnity)の現場リスク管理担当者マーク・ノワコースキ氏は、供給網問題はソフトウェアを使うことで管理を改善できると話している。たとえば、プロコア(Procore)が提供する建設業界向けソフトウェアを使えば「どの資材がいつ入荷するか、何が入荷済みか、資材の配達予定、納期遅延の見通し…といった情報を包括的に見渡せるようになる」。
また、現場にすでに置かれている資材を保護するために、動作検知器と接続型照明が大きな役割りを果たす。ワコースキ氏によると、安全検査のソフトウェアも多くの建設会社が使うようになっている。さらに、身体装着装置や、人間工学を考慮した人工知能(AI)技術を使って現場を評価し、負傷リスクを減らすための推薦事項を簡単に確認できる。
ただ、それらの技術を単に導入するだけでリスクを抑えられるわけではない。ドムブロースキ氏は「すべての現場にはそれぞれ異なるリスクの特性がある。そのため技術のニーズも異なる」「どんな現場にも共通する重要な目標は、安全第一の文化を醸成することだ」と述べた。