Tuesday, August 23, 2022 6:48 AM
TRIとノースウェスタン大学、持続可能な材料探しで提携
トヨタ・リサーチ・インスティチュート(TRI、カリフォルニア州)は、世界初のナノマテリアル(微細な粒子で構成される素材)の「データファクトリー」を構築して新材料の発見、設計、開発の加速を支援するため、ノースウェスタン大学(イリノイ州)と提携した。
TRIのプレスリリースによると、両者はノースウェスタンの新しい研究ツール「メガライブラリーズ(科学者がこれまで収集、分類した物よりも多くの新しい無機材料を選別するツール)」を使い、記録的速度で材料を合成できる機械学習アルゴリズム(コンピューターによる計算手法)を開発した。
この方法で、高品質で複雑なデータを大量に生成、マイニング(統計学や人工知能などの分析手法を駆使して知識を得ること)し、初のナノマテリアル・データファクトリーを形成する。TRIとノースウェスタン大の研究チームはこの方法を使い、現在世界が頼りにしているプラチナやイリジウムといった高価で希少な材料の代わりになる触媒を探している。
TRIのエネルギー・材料担当シニアディレクター、ブライアン・ストーリー氏は「炭素を排出することなく増大するモビリティー需要に応えることは、大きな試練だ。ノースウェスタン大との今回の提携により、輸送の脱炭素化に向けて電池や燃料電池に使える新材料の発見にかかる時間を大幅に短縮できた」 と話している。
従来の試行錯誤の方法をはるかに超えた人工知能(AI)ベースの手法によって、用途に応じた最適な材料を発見できるようになる。TRIとノースウェスタン大によると、データ・ファクトリーはまず、燃料電池車の効率を向上させる新しい触媒を見つけるために使われる予定だが、クリーンな水素製造、大気中の二酸化炭素(CO2)除去、高効率の太陽電池などさまざまな分野でも活用が期待できる。