Monday, November 07, 2022 7:12 AM
ライベント、カナダでM&A検討〜リチウム事業拡大で
リチウム大手ライベント(Livent、ペンシルベニア州)は、電気自動車(EV)の電池などに使われるリチウムの生産や加工を強化するため、カナダなどでの買収を検討している。
ロイター通信によると、同社はすでにカナダを含む世界各地で事業拡張を進めているが、EVや再生可能エネルギー産業からの需要の高まりに対応するためさらなる成長を目指してている。ポール・グレイブスCEOは最近のインタビューで「カナダを生産拡張の中核と考えている。当社はより大きくならなければならず、じっとしている訳にはいかない」と述べた。
ライベントは10月、EVメーカー大手テスラでリチウム、コバルト、ニッケルの調達を監督していたサラ・マリサエル氏を引き抜き、世界中でリチウム供給契約の可能性を追求する最高戦略責任者に任命した。
ライベントは1日の2022年7〜9月期決算発表で、予想を上回る純利益を理由に年間売上高予想の中間値を引き上げた一方、インフレ懸念を受けて予想の上限値は切り下げた。
同社のカナダ事業は、ケベック州のネマスカ・リチウム・プロジェクト買収に向けて20年に合弁会社を設立して以来着実に成長しており、現在このプロジェクトは25年までに操業を開始し3万4000トンのリチウムを生産する見通しだ。グレイブスCEOによると、ネマスカは最終的に年間10万トンを生産する可能性があるが、ライベントはカナダでほかの成長機会も模索する。リチウム塩水プロジェクトを運営しているアルゼンチンや、オーストラリアでの取引にも興味があるが、近くに十分な処理能力のないリチウム鉱山を購入するつもりはないという。
ライベントは、ゼネラル・モーターズ(GM)、BMW、テスラなどを主要顧客に持つ。カナダ政府は、EV用の鉱物資源プロジェクトを概ね支持しているが、国家安全保障上の懸念を理由に、11月初旬には中国企業3社に対してカナダの重要な鉱山プロジェクトからの撤退を命じている。