Monday, November 21, 2022 5:46 AM

ソルベイとオルビア、GA州に電池用PVDFの合弁設立

 ベルギーの化学大手ソルベイ(Solvay)とメキシコの塩化ビニル(PVC)生産大手オルビア(Orbia)は、北米最大のポリフッ化ビニリデン(PVDF、サスペンショングレード)生産能力を持つ合弁事業の設立で枠組み合意した。

 グリーンカー・コングレスによると、投資額は合計で約8億5000万ドルになる見込み。ジョージア州オーガスタに工場を建設する予定で、一部には米エネルギー省からソルベイに交付された助成金1億7800万ドルが充てられる。

 ソルベイとオルビアは、原材料加工と完成品製造の工場を1つずつ建設し、いずれも2026年までに全稼働を開始する計画だ。

 米国では30年までに自動車販売の半数以上が電動車になる可能性があり、リチウムイオン電池と熱可塑性フッ素ポリマーの1種であるPVDFの需要が高まっている。PVDFはリチウムイオン電池の電極バインダー(接着剤)やセパレーター(絶縁膜)のコーティングとして使われる。両社の合弁事業は需要と供給の大きな差を縮めると期待され、地域の生産性と材料の安全性を促進する規制環境で構築される。

 PVDF生産で世界を主導するソルベイは、この合弁事業に生産過程の技術と世界市場におけるノウハウをつぎ込む。垂直統合されたバリューチェーンと材料の確保により、オルビアのフッ素化学品事業コウラ(Koura)とポリマーソリューション事業ベストリット(Vestolit)は、それぞれフッ化水素酸、塩化ビニルモノマー(VCM)、塩素を供給する。

 優れた熱・機械特性と化学特性を有するソルベイの部分フッ素化半結晶性ポリマー「ソレフPVDF」と、オルビアの原材料と生産に関する専門知識を組み合わせることで、両社は電池のエネルギー密度、安全性、出力の向上を目指す。